モンテッソーリ教育の先生に聞きました!料理を通して子どもの生きていく力を育てよう。
将棋棋士の藤井聡太さんが幼少期にモンテッソーリ教育を受けていたと報道され、日本国内でも注目を浴びているモンテッソーリ教育。Amazon創業者のジェフ・ベゾス、マイクロソフト創設者ビル・ゲイツ、Google創業者ラリー・ペイジやサーゲイ・ブリンなど欧米では沢山の著名人がモンテッソーリ教育を受けていたと言われています。
東京都内を中心に「ICEモンテッソーリこどものいえ」を運営されている株式会社エー・アンド・アイ(Z会グループ)では「台所育児シリーズ」の子ども用包丁セットが採用されています。
実際のモンテッソーリ教育現場では、子どもたちが料理に関する活動をする際、どのようにその教育方法や理念が取り入れられているのでしょうか。そして、料理は子どもの成長のためにどのような良い影響を与えるのでしょうか。
幼児教育の現場で日々子どもたちと接しているICEモンテッソーリこどものいえの先生方にお話を伺いました。
日常生活の練習を通して生きていく力を身につけていく
大人が子どもに無理強いさせるのではなく、子どもが自然と「やりたい」と思うことが大事
(ICEこどものいえの先生方、以下先生)
先生:モンテッソーリ教育では「日常生活の練習」という考え方があります。例えば台所という場所で考えても、料理だけではなく下準備や食器洗いなど、普段大人が行う様々な家事の中で、子どもが興味を持ったものをその時に実践することを大事にしています。
—あくまで、子どもの「やりたい」気持ちを尊重するんですね?
先生:大人が子どもに無理にさせるのではなく、子どもが興味を持ったタイミングで「やってみる?」と誘っています。大人が取り組む姿を見ていて、子どもが「自分もやってみたい」という気持ちになることが大事です。
モンテッソーリ教育での「お仕事・活動」について
生きる上で必要なこと、成長していく上で子供たちが夢中になって行うことを「お仕事」や「活動」と呼んでいます。
子どもが「やりたい」と言ったら、まず大人はやり方を「提示」する。
—子どもが包丁に興味を持ったら、大人はどう指導したらいいのでしょうか?
先生:子どもが料理に興味を持ち、包丁を使いたいと思った時が始める良いタイミングです。まず最初に、大人は子どもに向かって一連の動作をゆっくり行います。
大人がまず見本を示すことをモンテッソーリ教育では「提示」と呼んでいます。まずは動作を「見る」ことに集中してもらいます。子どもは説明を「聞く」ことと、動作を「見る」ことの2つのことを同時にすることが難しかったりしますので。
―これなら大人も慌てずに指導できそうですね。
先生:子どもは「自分がやりたい」と思ったことだから、とても集中して動作を観察します。大人はスローモーションのようにゆっくり動作をして使い方を示します。
ーサンクラフトが行う子ども向けの料理教室(ワークショップ)でも、いきなり子どもに包丁を渡して作業に取り組むことはありません。まずは大人が子どもに包丁の基本的な使い方、危ない箇所を説明します。その後に食材の切り方などを見ていてもらいます。小さな子どもたちであっても、とても集中して大人の話を聞いたり、切り方を見ていてくれます。
ーまだ包丁を扱うことが難しそうなタイミングだったらどうしたらいいのでしょう?
先生:包丁を扱えそうなタイミングの前であっても、台所でのお仕事に興味を持った子どもができることは沢山あります。
トマトのヘタとり、レタスをちぎる、ピーラーを使ったお手伝い、大根おろしなどがおすすめです。いきなり包丁を使わせるのではなく、成長に合わせて子どものできそうなことを把握することが大切です。子どもの様子を日頃からよく見て、できそうなタイミングで声をかけるとよいでしょう。
教室では包丁を使った活動の前段階では、コーヒーを挽く、ゴマをする、オレンジを絞るなど、食材の変化を確認できる活動を通して子どもの興味を刺激しています。
ー個人差があるとは思いますが、何歳から刃物を使った活動が出来るのでしょうか?
先生:以前、教室できゅうりの皮むきをずっと行っていた3歳児がいました。最初にピーラーの刃物は手で触ると危ないものと伝えてあり子どもも理解しているので、とても丁寧にゆっくり皮むきをしていましたよ。
モンテッソーリ教育では、一つ一つの動作を、繰り返し子どもが満足するまで取り組みます。こうして夢中になって活動をすることで子どもは成長していきます。